2014年3月7日金曜日

アメリカ就職への道(7) オファーの見方

『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
Mar 2014, Vol. 68, No. 1

- From editors --
アメリカ就職への道:第七回になります。
今回はjob offer を受け取った 後、オファーをどう理解するかについてです。
sign-on bonus, relocation, health insurance, 400k などさまざまな項目があります。
オファーをもらっても その内容がわからなければ意味がありません。 
今回の記事にはオファーに関することについて 詳しく書かれています。
ぜひお楽しみください。
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-Sign-on Bonusは会社側がどうしてもあなたを雇いたい場合に、オファーされることがあります。あるいは会社の事情で基本給は高く出来ない代わりに1万ドルの契約ボーナスをオファーしてくれることもあります。

-ビザのサポートがあることは、米国市民権・グリーンカードを持っていない場合、必須となります。

-Relocation packageは仕事で引越さないといけない場合、とても助かります。引越しはなかなか大変な作業です。特にアメリカは大きいので自力で引越しをするのは労力もお金もかかります。
景気の良い頃は、引越しの際に、家を売るのを手伝ってくれたり、引越し後、家を買うのを手伝ってくれたり、と手厚いパッケージがありました(家を売り買いするのには不動産屋にそれぞれ売値・買値の5パーセントの手数料を払うので相当お金がかかる)が、最近はそのようなサービスは重役のみとなってきているようです。
Relocationのオファーとして例えば、引越し業者(Movers)の出費に上限5000ドル、引越しの際の飛行機代(家族の分を含む)、引越し後、住むところを見つけるまで3週間分のホテル代+レンタカー代全額、のようなものがあるかも知れません。また、不景気ですので、Relocationのサポートがゼロであることも考えられます
Relocationのサポートに関してはもし、オファーに記述されていなければ、まずは尋ねてみることをお勧めします。尋ねるだけなら、何の問題もありません。オファーを受ける条件としてRelocation の出費の全額または一部負担してもらえるようにネゴも出来ます。

-Health/Dental Insuranceは学生のうちはあまりその価値は測れないかも知れませんが、アメリカは世界で最も医療費の高い国として知られています。病気の治療費が重なり、破産をする人たちがたくさんいる国です。健康・歯科保険は保険のレベルおよび会社のサポートにもよりますが、月に300ドル~1000ドル以上にも達します。
社員の保険負担分が月500ドルを越えるような会社はまず、保険が充実していないことが分かります。
私の働いている会社は非常に保険が良いのですが、以前に家族がちょっとした手術をした際に、保険会社の手違いで6000ドルの請求書が送られてきたことがありました。
また、先日、出張先で体調を壊し、3時間ほどERにお世話になったことがあるのですが、偶然、保険カードを忘れてしまったため、病院から次から次に送ってくる請求書に驚いたものです。手術をしたわけでもなく、レントゲン写真に注射をしてもらった程度ですが、請求総額は10000ドル以上でした。もちろん、病院に電話して保険の情報を提供すると、全額、保険でカバーされて一安心しました。
アメリカはGDPの17.9%が医療費に消えている世界で一番、医療費の高い国です。若く独身だとピントこない人もいるかもしれませんが、保険の善し悪しは非常に重要です。
保険の内容、月々の保険代(Premium)、医者・歯医者に見てもらう際に払うCopayの額、何がカバーされて何がカバーされないかをしっかり見ましょう。

-バケーション (有給休暇)は一般的に新卒者ならば10日ですが、場合によっては15日もらえる場合もあります。勤続年数が10年を越えると20日もらえる会社が多いようです。

-401Kは学生は聞きなれないかもしれませんが、自己積み立て型の年金です。日本でもアメリカでもそうですが、国の財政が悪化し、年金制度も破綻寸前ですから、将来、生活に困らないためにはこの401K が非常に重要となってきます。卒業時はまだ若いので、定年後の年金のことなど考えられないかもしれませんが、401K では様々な投資商品に投資をすることでリターンを得るため、長期の積み立てが成功の鍵となります。ですから若いうちにはじめれば始めるほど良いと言えます。特に、日本でもアメリカでも年金が破産寸前ですから、強制的にSocial Security Tax(普通は税率6.2%、去年は4.2%)& Medicare Tax(税率1.45%)は徴収されますが、引退する時に、年金がもらえることはあまり期待できません。
401K には普通の401KとRoth 401Kがあります。両方をオファーしている会社もありますし、通常の401Kのみの会社もあります。普通の401Kは課税の前に、給与から口座に振り込まれるので、連邦税・州税の免除となります。ただし、将来、お金を引きおろす時に収入とみなされ、税金がかかります。
一方、Roth 401Kは税金を払った後に、給与から口座に振り込まれます。
すでに税金を払っていますので、引きおろす時に税金を払う必要がありません。
最初に税金を払う方が良いか、後から払う方が良いかは意見の分かれるところですが、アメリカ、日本両国の財政を考えると、将来税金が上ることは必至なので、今のうちに税金を払うRothの方がよい、という人もいますし、普通の401K を利用して今の課税対象収入を減し、将来は今の年収より少額を毎年引き出せば、税率は少ない、という人もいます。
また、401K のベネフィットとして重要なこととして、会社のマッチングがあります。会社が給料の3%まで100%のマッチング、3%~9%までは50%のマッチングをオファーしているとします。
これの意味するところは、あなたが401K に入金する額が給料の3%までは会社も同じ額を入金してくれて、さらに3%以上になるとあなたの入金額の半分を会社が入金してくれます。

例1) 年収100Kだとします。あなたが3%の3Kを401Kに入れたとすると、会社も3Kを入れてくれますので、年間6Kのお金があなたの401K口座に入金されます。
あなたは3%以上は入れていないので、会社はそれ以上のお金は入れてくれません。

例2) 年収100Kで9%を401Kに入金するとすると、会社は最初の3%は1:1でマッチング、さらに6%は1:0.5でマッチングしてあなたの口座に入れてくれるので、自分の入金額は9K、会社からの入金額は6K、計年間15K となります。
例1、例2からの結果を見ても分かりますが、この例にあるように会社が3%まで100%のマッチング、3%~9%までは50%のマッチングをオファーしている場合、最大限のベネフィットを得るには自分が最低限でも9%の入金をしなければなりません。
一般的には最低でも将来の為に給料の10%を401Kに入れて運用するように言われています。また、転職して会社を移っても、レイオフにあっても401K口座のお金はあなたのものです。転職した場合、そのまま以前の会社の401K口座にお金を残しておいても良い会社とそう出ない会社があります。新しい会社の401Kにお金を移したり、IRA(Individual Retirement Account)にお金を移す(Roll over)することも出来ます。401Kでは選択できる投資商品に限りがあるものの、会社側が一括して社員全員の口座維持費を負担してくれるので手数料は多少安くすみますが、IRAは自分で管理するので面倒ではありますが、投資商品を自由に選べるフレキシビリティがあります。
ただ401K、IRA共に一定の年齢(59.5)に達しなければ、ペナルティ(高額な税金)なしに引きおろしは出来ません。401Kは引きおろしはできなくてもローンをすることが出来ます。自分の口座からお金を借りるのは変な話ですが、自分に利子を払ってお金を返します。ローンの条件としては、初めて、家を買う時、あるいは子供の教育費が挙げられます。将来の子供の教育費のために401Kにお金を上限まで(会社のマッチングを除いて年間$16500 (2012年度は上限$17000、50歳以上はプラス$5000)入金している人を多く見かけます。ただし、ローン中の転職は困難となりますので注意が必要です。
ところで、過去の統計では401K のような長期の投資のリターンは年平均10%ほどらしいので、10年、20年、30年と積み立てを続ければ、相当な額になります。そういう意味でも、アメリカ人は就職の際、401Kのあるなし、会社のマッチングのパーセンテージを非常に重視します。

-ストックオプションをオファーする会社はかなり少なくなってきたと聞きます。あればラッキーですが、無くてもガッカリしないでください。

-複数のオファーももらった場合は、仕事内容や会社、そして前述のオファーの内容を比較検討するのが良いでしょう。単純に給料だけでは決められません。アメリカでは前にも言いましたが、街によってかなり生活費が異なり、それを反映して給料も変わってきます。また、Health/Dental careが良くない、あるいは401Kの制度が無いのであれば、基本給が良くても良い条件とはいえないでしょう。もちろん、仕事はお金だけでは決められませんが、生活していく上で必ず必要なものですから、後から後悔しないように、オファーを受ける前に、会社側と話しあう必要があります。特に、複数のオファーをもらった場合は、どのオファーを受けるかは簡単には決められないかもしれません。

-オファーを受けるには
オファーを受けるには、もちろん、口頭で担当のマネージャーに伝えることはもちろんですが、おそらく、オファーレターの中に、オファーを受けることを記述した手紙が入っているはずです。それにサインをして同封されてきた返信用の封筒で会社に送り返すことで、正式にオファーを受け入れたことになります。



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発行責任者: 石井 洋平
編集責任者: 石井 洋平
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