武田祐史
カガクシャ・ネット代表
タフツ大学医療工学科博士課程在学中
留学の実現や海外での就職活動においてコネは重要な役割を果たすと言われています.コネを生かした留学のよくある例としては,日本で所属していた研究室の先生の紹介や共同研究先に留学する,というところでしょうか.私の場合はそのようなツテがなく,現在の研究室に受け入れていただいたきっかけは,現地訪問によって得たコネによるものでした.2010年秋,出願準備中だった私は研究室訪問のためにボストンに渡りましたが,訪問しても大学院生として受け入れることには消極的な返事をもらったり,そもそも訪問に関するメールを送っても返事がもらえなかったりと,けっして成功とは言えない有様でした.
そんなボストン滞在中,MIT日本人会のウェブサイトに当時あった留学相談のメールフォームに苦し紛れに投稿したところ,ある日本人研究者の方(その方とはもちろん面識はない)が快く相談に乗ってくださりました.研究室を見せてくださったあとは近くのスターバックスにて留学中の様子や研究生活についてお話を聞かせてもらいました.たいした質問もできなかった記憶がありますが,その際に「タフツ大学で知り合いがラボを最近立ち上げたんだけど,紹介しようか?」というありがたい申し出をいただきました.その先生のことを渡米前はまったく存じ上げなかったのですが,この紹介を機にコンタクトを取り,研究室訪問・教員との面談が実現しました.そして,その研究室でResearch Assistantとして働くことになり現在に至ります.
このように,何もないところから生まれたコネがきっかけとなって,留学先が決まることになりました.自分の体験談をもとに過度に一般化した話をするのもどうかと思いますが,主体的に動くことは留学経験を成功に近づける秘訣ではないでしょうか.留学相談を受けた際に「コネがないのだけど,どうしたらよいか?」といった質問をよく受けますが,コネがないなら作ればいいじゃないかと思います.コネは留学先や就職先を直接得るためだけではなく,進路に関するアドバイスや情報を得るという観点からも非常に大切です.
ネットワーキング—つまり主体的なコネ作り—にはカガクシャ・ネットの利用が役に立つはずです.カガクシャ・ネットは,メーリングリストとして始まった当初から,実名でのコミュニケーションを基本としてきました.これは,ディスカッションの質を担保するということと同時に,参加者間のネットワーキングにつなげるねらいがあるからです.メーリングリストからLinkedInへ移行したことで,さらにメンバー間のネットワーキングには利用しやすい環境になったと思います.たとえば,Discussionページに投稿することで,進路や留学準備,キャリアについても自由に相談することができます.
さらにLinkedInグループのメンバーリストを通じて,カガクシャ・ネットメンバーに直接コンタクトをとることも可能です.
以下に方法を解説します.
- LinkedInのグループページに行きます.
- スクリーン上部にある“member”と表示されている横にある参加人数 (たとえば“203 members”) をクリックします.
- メンバー一覧が表示されますので,そこでコンタクトを取りたい人を検索します.大学名,都市名などでも検索可能です.
- コンタクトを取りたい方の名前の横に表示されている“send message.”をクリックすることでメッセージを直接送ることができます.
ただし,この方法で1か月に送れるメッセージ数には制限があるそうです.このような形でコンタクトをとることに抵抗を覚える方も少なくないかもしれませんが,アメリカの大学のキャリアサポートセンターなども上述したLinkedInグループを利用したネットワーキングを推奨しています.
また,カガクシャ・ネットはオンライン座談会,留学・キャリア相談会などのイベントを開催しています.これらのオンラインイベントはSkypeなどのツールを利用したface-to-faceに近いディスカッションが可能ですので,参加を通じて,情報収集やネットワークを広げていくことも可能です.
以上のように,カガクシャ・ネットは今後のキャリアを築く助けとなる環境を提供しています.カガクシャ・ネットメンバーひとりひとりが積極的にこれらのリソースを活用することで,自らのキャリアの目標の実現に近づくことでしょう.
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