2016年6月6日月曜日

「留学生リレー日記」最終回 私にとって留学とは、未来への展望

留学生リレー日記、2016年度前期編は今回が最終回になります。今回は、これまで留学生活を紹介してくださった執筆者の皆さんに、留学について一歩引いた視点で質問をしてみました。


1.留学をしてよかったと思いますか?それはなぜですか?

  良かったと思います。留学先では日本での常識が通用しないことが多いです。自分の既存の価値観が覆されたり、これまでと違う物事の考え方をしたりすることで、より幅広い視野での問題解決能力が身についたと思います。
  まだわかりません。期待には応えたいし、見切りには抗いたいと思っています。最後によかったと思えるように、他の留学生とは違った経験や価値を見出していきたいです。
よかったんじゃないかなと思います。やはり多様な人々との出会いが大きいです。文系の研究者の方、音楽・芸術家の方など、日本で理系の学部生をしていた頃には想像もできなかった出会いに恵まれました。ドイツはおそらく世界で最もいい国のうちの1つで、日本が見習わなければいけないことがたくさんあります(逆も多々ありますが…)。新しい場所で、多彩な人と会い、自分を見つめ直していく経験は、少なくとも僕のような引きこもりタイプの人間には、留学なしでは訪 れなかったでしょう。

留学は、あたりまえだと思っていたことを離れ、新しい人と出会うきっかけのようです。違っていること、同じであることを一つひとつ真摯に受け止めて、その先を切り開いてゆく勇気にエールを!

2.留学の前後で自分が変わったと思うことは?

  人見知りをあまりしなくなったのと、行動力が身についた気がします。留学先で困ったことに直面した際、どうしようと悩む前にとりあえず何かしら行動を起こしてみるようになりました。
  まだわかりません。ただ、どうしても変わらない、変えられないところが、環境の変化によって浮き彫りになってきました。例えば、すごく陽気で何事にも積極的になったということはありません。
じゃがいもが主食でも大丈夫になったとか、細かい点では多々ありますが、基本は変わっていないと思います。むしろ、卒業し、就職し、結婚していく日本の同期の方が、自分よりも変化の割合は大きいですね。

たくましく新しい環境に適応しつつ、予想よりも変わっていない自分を再発見するのかもしれませんね。

3.異文化交流のコツについて一言

  アメリカではタクシーの運転手さんでもスーパーの店員さんでも、見ず知らずの他人と世間話をすることが多いです。スポーツなど国籍を問わず楽しめる話題は人との距離を縮めやすいと感じました。また、女性の友人同士だと恋愛相談でも盛り上がります(笑)。
  強いて言えば、面白いと思うこと、面白いと思ってもらうこと、だと思います。ただ、顔を引きつらせて無理矢理面白いと言ってみたり、からっぽのくせに見栄を張ってみても、絵に描いたような交流は出来ませんね。
これは僕が教えてほしいです(笑)
おそらく、先入観をなるべく持たずに、誰に対しても1人の対等な人間として向かい合うことじゃないかなと思います。言語力はもちろんですけど、例えばヨーロッパだったら毎年Eurovisionを観るとか、そうした周りの人がやっていることをとりあえず自分もしてみると溶け 込みやすいかもしれません。

話題を共有して、面白いことを面白いと思う。日本人どうしでも同じですね。言葉も不自由で文化背景も違うと、自分と相手の引き出しの中に同じものがあることに気づくのが難しくなります。スポーツ・恋愛・娯楽といったところから探していくと、思ったより早く共通点を見つけれるようです。

4.将来は何をしたいですか?

  アメリカで研究の仕事に就きたいです。今の生活、研究環境が非常に好きなので、このまま大学で研究を続けていけることが理想です(もちろんプレッシャーも大きいですが)。国際学会に参加して世界中の研究者と交流できるのも楽しいです。
  何か面白いことをしたいと思っています。
僕はずっと思春期のメンタルヘルスに興味があります。思春期(Adolescence)は、脳科学的に見ると、感情や情動を司る大脳辺縁系は十分に発達し ているのに、それをコントロールし自分の行動を律する前頭前野がまだまだ未発達な、人の一生の中で最もあやうく、繊細で、特別な時期です。研究もいいです が、こうした脳科学の知見を活かした社会システムを、世の中に構築していきたいなと今は考えています。

執筆者の皆さん、3ヶ月間の連載へのご協力、ありがとうございました!



留学生リレー日記
第1回 プロローグ(1) アメリカとドイツからこんにちは
第2回 プロローグ(2) じゃがいも&ドライブ&シェアハウス
第3回 大学紹介編(1) いざボストンへ
第4回 大学紹介編(2) 棚から...
第5回 大学紹介編(3) 星を眺めて、哲学にふける
第6回 大学紹介編(4) Q&Aその1
第7回 日常生活編(1) アイスホッケーはじめました
第8回 日常生活編(2) 心理的ハードルが低くなる
第9回 日常生活編(3) チョコとポテトは必需品
第10回 日常生活編(4) Q&Aその2
第11回 トラブル編(1) アメリカの洗礼
第12回 トラブル編(2) ビザが届かない!
第13回 トラブル編(3) 自分が持てる分だけ、買おう
第14回 エピローグ 私にとって留学とは、将来への展望


執筆者プロフィール

  趙 雪薇 (ちょう ゆきばら)
タフツ大学 生物医療工学科の大学院1年生 修士卒業後に渡米
研究内容は細胞外小胞を用いた細胞のリプログラミングへの応用
  滋井 康人(しげい やすと)
テキサスA&M大学 海洋学科大学院1回生 大学院卒業後就職し、社会人留学
構造地質や堆積学等、地質学の習得を目的として留学
川口 雄久(かわぐち かつひさ)
チュービンゲン大学 International Max-Plank Research School of Neural & Behavioral Sciences 博士課程1年目 学部卒業後に渡独、修士修了
研究内容は、セロトニンの視覚情報処理における役割

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発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 日置 壮一郎
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