2019年12月30日月曜日

連載「留学準備やその他人生に影響を与えたメディア」第3回:松澤琢己

こんにちは!皆様、良い年の瀬をお過ごしでしょうか。
連載企画「留学準備やその他人生に影響を与えたメディア」第3回担当の松澤です。
私は米大学留学→米大学院というルートを辿ったのですが、その決断の裏で参考にしたメディアをご紹介致します。


1. 大学留学編(米国)
 『理系大学院留学を読んで基礎知識を付けたら、現地情報に触れましょう。留学に必要な書類や難易度に自分の認識と差異がないかを確認します。

 ○ 現地からの基礎情報: U.S. News- Education
 USNewsは大学選びに必要な情報が網羅されている最もスタンダードなサイトです。加えて参考になったのは、NSFが発表しているSTEM分野の博士の出身大学リストです。これは2つに大別できて、①大規模研究大学②優良リベラルアーツ・カレッジとなります。STEM分野の多くで米大学はリードする存在ですが、その人材はいかに育まれるのでしょうか。それを考える時に、このリストは興味深い材料です。特に私の目を引いたのは、小規模教育であるリベラルアーツカレッジが研究型大学と引けを取らないことでした。

 ○ 先達の声その1:オックスフォードな日々
 身内になりますが、江口さんのブログは学部留学でするべきことが網羅されています!特に、研究者志望の若者が院からではなく学部留学するメリットを述べたこの記事は高校生や大学生に読んで頂きたいです。
 院留学に必要なものは研究経能力、推薦状、学力、言語力らに分けられますが、学部留学をするとこれらが手に入りやすくなる場合があります。院も同じ言語圏ならば、言語力は学力と並行してついてきます。研究経験も米では自分の意思次第で1年生からつけることができます。

 なぜ米では博士号取得者の少なくない数がリベラルアーツカレッジ出身なのでしょうか。そこは科学・人文学・芸術などの西洋的教養を幅広く少人数で学ぶ場です。本ブログでは佐久間さんが名門リベラルアーツカレッジでの奮闘を綴られていました。議論主体の授業で好奇心は強化され、関心はより多くの対象に向く。同時に批判精神が養われていく様を見ると、博士号取得者にリベラルアーツカレッジ出身者が少なくないのも頷けました。そうした佐久間さんの姿に感化されたのを覚えています。


2. 大学院留学編
 以下は現地で仲が良くなった教授達や友人から教えて頂いたもののみです。基本的に情報収集は留学先のメディアを利用しましょう。既に学部留学しており、同地域で進学する場合は地の利があります。情報量に制限はない上、疑問があれば現地の採用担当の教授に直接聞けることもあります。実はこういった時に、院生の方が内部情報を沢山教えてくれたりします。

 ○ 基礎情報(米の場合)
 大学院に限っては基準が曖昧なのでランキングに踊らされないこと。研究者からの評価、学生からの評価、世間からの評価は異なるので、研究分野を軸にリサーチすることが大事。科学系で僕がとても参考にしたランキングはこちら(NRC Ranking)研究者からの評価や学生からの評価などを自分で選んでランキングを見れるので便利です。少なくともSTEM分野では感覚的に一番まともなランキングだと思っています。後は、GradSchoolShopper.comでプログラムに関する基礎情報を集めましょう。
 ○ 情報交換GradCafe
 オファーやインタビューをもらった人達がその日にちと内容を知らせる掲示板。米大学院では大抵、複数回に分けて応募者にオファーを出します。これは第一ラウンドでオファーを出した応募者が他大学に流れそうな時に、残った候補者にオファーを出す為です。この掲示板ではリアルタイムで選考の様子を窺ったり、過去に合格した方々の簡単なプロフィールを確認できます。



3. 自分に影響を与えた本
思考の整理学ー 外山滋比古
 「考える」という所作を丁寧に教えている不朽の名著です。思考とは知識をつなげる所作以上のものですが、改めて文字に起こされてハッとさせられたのを覚えています。留学をしようか迷っていた時や留学後も、自分の思考に自信を持つことができたのはこの本のおかげな気がしています。

 ご冗談でしょう、ファインマンさんーRichard P. Feynman
 ファインマン博士は気さくな人柄で知られた物理学者でした。とてもコミカルなエピソード集は、創造性の大事さを如実に伝えています。新しいことを考えつくことはとても偉いんです。

以上、ご参考になりましたでしょうか?
カガクシャ・ネットでは今後も理系大学院留学に役立つ情報を発信してまいります。
来年もよろしくお願いいたします!

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 著者略歴:
 松澤 琢己(まつざわ たくみ)
 2016年、米カラマズー大学より学士号(物理・化学、最優秀
     物性物理学、高エネルギー物理学、計算論的神経科学の分野で研究
     フェルミ国立加速器研究所ではインターンとして従事。
 2017年、シカゴ大学より修士(物理)。
 2022年、博士号(物理)を取得予定。専門は流体力学。


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