2017年3月29日水曜日

「新留学生リレー日記」第1回 Oxford & UC Davis & Tübingen


「新留学生リレー日記」が今日から始まります。この連載企画では、現役大学院留学生3人が、アメリカ、イギリスとドイツから、留学先の国の学位制度や大学院生の懐事情、留学準備情報について、お伝えします。

第1回の今回は、リレー日記の本編に入る前に執筆者の皆さんにオンラインで集まっていただき、留学生活について伺いました。来週からは学位制度について4回に分けてお送りします。どうぞお楽しみに!


1.自己紹介をおねがいします!

こんにちは、カガクシャ・ネット ブログ&メルマガ編集部です。はじめに執筆者の皆さんから自己紹介をお願いします!
江口と申します。米国Arkansas(アーカンソー)大学の学部を卒業後、英国オックスフォード大学大学院に進学し、計算神経科学の博士号課程に在籍中です。
村瀬と申します。カリフォルニア大学Davis(デービス)校の食品科学科に在籍しています。日本で学部を卒業後渡米し、現在修士課程1年目です。
川口と申します。チュービンゲン大学博士課程(後期)2年目です。神経科学を専攻しています。日本で学部卒業後にドイツへ留学して修士の学位を取得し、継続して博士課程に在籍しています。ドイツ生活4年目になります。

川口さんは昨年の留学生リレー日記から引き続き登場になります。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

2. 留学先の大学について簡単な紹介と、気に入っているところ、残念なところを教えてください。

オックスフォード大学の学生数2万人ぐらいで、オックスフォードは街自体が大学町となっており、学部が町中に散らばっています。留学生に限らず日本人だけなら100人くらいいるようですが、感覚的には博士課程の学生は毎年3人程度です。
気に入っているところは、歴史のある街並みや中世から続く伝統的なシステムです。例えば、独特のカレッジ制度(日本でいうところの寮・奨学金の 財団)をもっています。全ての学生は、研究するためのDepartmentに所属するとともに、生活するためのCollegeの両方に一つずつ所属するこ とになっており、Collegeが、学部の垣根を超えた社交の場や、グラントを提供したりと、学生生活を全面的にサポートしてくれます。
ただその反面、長い歴史に足を引っ張られているな、と感じるところもたくさんあります。例えば、図書館も夜早くに閉まってしまいますし、全般的に保守的で施設が古く、インターネットのつながりも悪いです。また、フォーマルなカレッジでは、ご飯を食べるときにスーツとローブ着用が義務付けられていたりと、守らなければならないしきたりが非常に多く、ルールブックだけで5cmくらいの厚さになってしまいます。

UC Davis は University of California System の10校のひとつで、UC Berkeley の農学校を発展させてできた7番目の学校です。学部生は3万人で大学院生は7000人。日本人は語学留学(交換留学)にきている学部生が多いので見かけますが、学位取得のためにきている学生は少なく、日本人会もないので、知り合うことができたのは数人程度です。
気に入っているところは、私の所属学科の場合はラボローテーション制度があって、研究室の本所属を決める前に見て回れることです。また、Departmentが大きすぎず、教授との距離が非常に近い点も良いところだと思います。今年の新入生は Ph.D. と Master あわせて18人で、各研究室の規模が10〜15人。私が専攻している食品微生物学に関する研究室は5つあります。 小さい街なので、自転車があれば十分生活できます。アジア系のアメリカ人や留学生が多いので、食堂のメニューもアジア系のものが多くていいです。治安もかなり良いほうですが、自転車泥棒は多いです。
残念なところは、授業料が非常に高く、また家賃も高い(4部屋+トイレ2つのルームシェア用アパートで毎月 700 米ドル、人によっては 1000 米ドル)ことです。また、アジア系スーパーはダウンタウンにひとつしかなく、足りないアジア系食材などは州都のサクラメントまで車で買い物に行かないといけません。
チュービンゲン大学は全体で 学生が3万人くらいです。日本人が30人でほとんどが語学留学生とポスドクです。中世からあるとても古い伝統的な街並みで、第二次世界大戦で幸運にも破壊されませんでした。とても小さな街ですが、神経科学の研究所が4つくらいあるので、神経科学をやるうえではとてもいい場所です。ただ、残念なところは、街が小さく、語学研修を行ったベルリンのような都会の方が好きです。とはいえ、全体的に肉や野菜が安いのは良いところですね。日本食スーパーはありませんが、アジアスーパーが2つあります。

第2回に続く

新留学生リレー日記
第1回 Oxford & UC Davis & Tübingen
第2回 英米独の学位制度
第3回 アメリカの大学院
第4回 ドイツの大学院
第5回 イギリスの大学院
第6回 Q&A
第7回 留学生の懐事情
第8回 オックスフォード生活とお金
第9回 ドイツ留学で気になるArbeitsvertragとStipend

リレー日記の執筆者への質問やリクエストを随時募集しています。
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執筆者プロフィール


江口 晃浩(えぐち あきひろ)
高 専時代にAFSを通じてオレゴン州の高校で一年間の交換留学を経験。2008年より米国アーカンソー大学に進学し、2011年春に理学士(コンピュータ・ サイエンス)、2012年に教養学士(心理学)を取得。同年、英国オックスフォード大学大学院に進学し、計算神経科学の博士号過程に在籍中。ブログ「オックスフォードな日々http://hogsford.com

村瀬 彩華 (むらせ あやか)
カリフォルニア大学デービス校 食品科学科の修士1年生 学部卒業後に渡米
専攻は食品微生物学
川口 雄久(かわぐち かつひさ)
チュービンゲン大学 マックスプランク神経行動科学大学院のD2
学部卒業後に渡独 研究内容は視覚情報処理と意思決定

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発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 日置 壮一郎
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