2020年10月30日金曜日

米国PhD取得までの道のり

 こんにちは。カガクシャ・ネット副代表の山田です。


今回の記事では、アメリカの大学院におけるSTEM分野の博士号取得までの道のりについて、私の体験に基づいてご紹介します。なお、アメリカでは日本のように政府が大学院プログラムに関する認定を行っているわけではありません。学位の取得基準やカリキュラム等については、それぞれの大学院が独自に設定しています。そのため、この記事の内容が必ずしもすべての大学院に当てはまるわけではありませんが、根本的な考え方としては共通する部分が多いかと思いますので、参考情報としてお読みいただけますと幸いです。

なお、この記事に関する質問がございましたら、カガクシャ・ネットまでお気軽にお尋ね下さい。また、カガクシャ・ネットでは随時メールやLinkedIn等で個別の留学相談も受け付けていますので、そちらもぜひご利用下さい。


1. 留学動機

私がアメリカの大学院進学を志した理由には、体系的なコースワークとフレキシブルな学位取得制度がありました。学部課程では化学を専攻していたのですが、大学院では繊維材料の研究開発に携わりたいという希望がありました。当然ながら日本でも「化学(学部)」→「繊維科学(大学院)」というようなルートは十分に可能ですが、アメリカでは分野変更によりオープンで、バックグラウンドのない学生の受け入れを前提とした体系的なコースワークが準備されているため心強く感じました。(実際、私の進学したプログラムには、学部課程で音楽を専攻していた方もおられました。)また、大学院入学後に関しても取得する学位の変更(例えば、修士号 ⇔ 博士号)や、メジャー/マイナーの追加や変更がほぼ自由となっており、実際に入学し授業を受けながらじっくりと考えられる教育システムも大きな魅力でした。

他にも、世界中から多様な学生が集まるアメリカの大学院は、幅広いネットワーキングに加え、大学院修了後のキャリアにおいて役立つ様々なスキルを効果的に修得するのに最適な環境であるとの考えもありました。また、金銭面においてもTeaching Assistantship (TA)やResearch Assistantship (RA)、Fellowshipといった制度が豊富で、学費免除に加えて給与が支払われる可能性が高いという点も魅力の一つでした。


2. アメリカの大学院制度 

アメリカの大学院にも日本のように大きく分けて修士課程と博士課程があります。修士課程では1–2年、博士課程では3–5年が標準所要年数とされている場合が多いですが、実際には学生各々の経験(バックグラウンド)やLearning skills、ライフスタイルに合わせてカリキュラムを組みますので、学位取得までの在学期間に関しては日本の大学院課程に比べて大きく個人差がある印象です。 また、アメリカでは専攻する学問分野によってPhD取得までのルートが少し異なります(Figure 1)。実学に近い分野(例えば工学系)の場合にはまず修士課程に入学し、コースワークを中心に学習します。将来博士課程に進むことを考えている場合には修士論文の執筆とDefense(口頭試問)も行うのが一般的ですが、キャリアアップ目的(技術系等)で入学される方も多いため、修士課程での研究はあくまでもオプションの扱いになっています。(ちなみに、実学に近い分野でも直接博士課程に入学すること自体は可能ですが、入学審査が厳しくなります。)





Figure 1. アメリカの大学院制度(所要年数は目安)。



その一方、自然科学系の場合には基本的に修士課程が設定されておらず、直接博士課程に入学します。アメリカの博士課程も他国同様、研究者を養成するためのプログラムという位置づけに変わりはありませんが、研究を始める前に2年程度(修士号をすでに取得済み場合には1年程度となる場合あり)のコースワークに取り組み、Literature reviewや研究手法に関する知識を修得します。コースワークに関しては、修士課程のものに似ていますが、要求される知識量が格段に多くなります。また、大学院によって形式や呼称は若干異なりますが、コースワークを通して、あるいはコースワーク修了後にQualifying examination(”Qual”)と呼ばれる、博士研究を行うのに必要な知識を十分に有しているか確認するための適性試験が課されます。この試験に合格できなければ自動的にtermination(退学)となりますので、ここが第一関門ということになります。

無事にQualをクリアしたら、目前には第二関門であるPreliminary examination(”Prelim”)が待ち構えています。この試験では、Research proposal(研究の提案書)を提出しDefenseを行います。ここではかなり厳しく審査されますので、十分に時間をかけて研究計画を立てておく必要があります。この試験に無事にパスできればPhD StudentからPhD Candidate(博士候補生)となり、ようやく本格的に研究を始められることになります。提案書をベースに研究を行い、Dissertation(博士論文)を書き終えたらFinal examination(Final defense)に臨みます。これが文字通り最後の関門で、すべての審査員をきっちりと納得させられれば無事にPhD取得となります。

ちなみに、私の場合は実学よりの分野であったため、修士課程(2年; 研究あり)→博士課程(3年)というルートで、二つの学位(MS in TextilesとPhD in Fiber & Polymer Science)を取得しました。(私が行った研究の内容につきましては2018年配信の研究紹介記事をご覧ください。)ちなみに私の経験からも、アメリカの大学院教育における最大の特徴は、修士課程も博士課程も徹底的なコースワークにあると思います。膨大な量の文献を読むことを要求されるため、否が応でも該博な知識が身につきます。実験スキルも当然そうですが、研究者にとって要とも言える知識や情報収集スキルの修得という点でも、アメリカで受けた大学院教育は大変貴重なものであったと感じています。


3. 大学院受験 

アメリカの大学院(STEM分野)への応募に際して必要となる書類は、修士課程と博士課程でほぼ共通で、概ね下記のとおりです。 

  ・Statement of Purpose(SOP; 志望動機書) 
  ・推薦状(2 – 3通) 
  ・CVまたはResume 
  ・TOEFL(IELTSでも良い場合あり)
  ・Transcript(成績表) 
  ・GRE 

書類審査(と面接)のみで合否が決まるアメリカではこれらすべてが綿密にチェックされますが、その中でも特に重要なのがStatement of Purpose(SOP)と推薦状だと思います。これら二つの書類をベースに、応募者の志望動機や意欲、考え方、入学希望のプログラムの修了可能性等、さまざまな点を精査されます。中でも、SOPは応募者自身で作成できる最大のアピール材料になりますので、時間をかけてしっかり仕上げるのが良いでしょう。また、推薦状には応募者の客観的な評価が含まれます。SOPと矛盾がないのは当然のこと、応募者の入学後の展望についてサポーティブに書いてくれる人にお願いしましょう。推薦者が名の知れた方であれば推薦力も大きくなりますので、推薦者選びは大切です。 

成績表も必要になります。必要なGPAは大学院ごとに設定されていますので、基準値をクリアしているかどうかは必ず確認しましょう。また、TOEFLやGREも同様で、ほとんどの場合、入学に必要な点数が大学院ごとに設定されていますので確認の上、早めに取得しておきましょう。 

受験する大学院や研究室選びについては、興味のある研究をベースに絞っていくのが良いでしょう。最終的に10校程度に絞って受験する方が多いようです。私も10校弱応募しました。(合格は5校。)ちなみに、入学時点(応募時点)で研究室を決めている必要は全くないですが(私の場合も研究室を決めたのは入学してからです)、応募する前に興味のある研究室の先生には必ずコンタクトを取るようにしてください。emailで十分ですので、簡単な自己紹介と興味を持った理由を書き(CVまたはResumeも添付)、そして大学院生を募集する予定があるか尋ねてみましょう。ちなみに、研究室のWebsiteも細かくチェックしておきましょう。大学院生募集に関する情報が書かれている場合もあります。


4. 合格~渡米 

大学院からの合格通知はほとんどの場合4月中旬までにemailや郵送で届きます。まずチェックしたいのは、Funding(TAやRA、Fellowship等)の有無です。アメリカの大学院は、州立大学でも私立大学でも学費だけで年間数万ドルかかることが多いですので、授業料免除や医療保険、給料面でどの程度のサポートを受けられるのかを確認しましょう。それらを加味した上で入学するプログラムを決めたら、滞在許可証(I-20)等、学生(F-1)ビザ申請に必要な書類を揃えましょう。ビザ取得には時間がかかりますので、早めの行動が良いでしょう。なお、査証取得の詳細につきましては、COVID-19等の影響による変更の可能性もありますので、二次情報に頼らず、必ずご自身で在日米国大使館・領事館のWebsiteをご確認下さい。なお、渡航準備及び渡航直後に役立つ情報に関しましては、以前に配信しておりますので、そちら(下記リンク)をご覧ください。 

  ・アメリカ渡航 Tips 集: http://kagakushanet.blogspot.com/2017/08/?m=1


5. 大学院に入学したら 

入学するとその週か翌週には講義が始まり、一気に忙しくなります。特に、慣れない言語での授業となりますから、人一倍の努力をする必要が出てくるかと思います。また、TA等にアサインされている場合には、更に時間を割かれることになります。そのような状況であっても、隙間時間を見つけやっておきたいのが、そのプログラムで行われている研究をできるだけ多く知り、自分にとってベストな指導教員(Principal investigator; PI)を見つけることでしょう。プログラムによってはローテーション制度(複数の研究室に仮所属して研究を体験する制度)がある場合もありますが、無い場合には教授にメールでアポイントメントを取って訪問し、対面で話を聞いてみましょう。Websiteに書かれている研究だけでなく、他にも面白そうなプロジェクトがあるかもしれません。また、多くの場合、研究室の学生を紹介してもらえますので、学生目線での研究活動についての情報を得る良い機会にもなります。


6. アメリカの大学院で苦労した点 

アメリカの大学院には、RA やTAとして雇われながら大学院に通うことができる制度があります。RAは研究関連の業務(多くの場合、修士論文や博士論文に関係する内容)を行い、TAは学部生(一部大学院生)向けの講義やオフィスアワー等の担当を行います。いずれの制度でも学費免除や医療保険費免除に加えて給料が支払われますが、入学後1–2年はTA、それ以降はRAとして起用されるケースが多いです。ただし、RAに関しては指導教員の研究資金の獲得状況に大きく左右されます。私が所属していた研究室では資金がかなり限られており、TAとしての雇用がメインでした。その結果、ティーチング業務に多くの時間(週20時間)を費やすこととなり、限られた時間の中で手際よく研究を行う必要がありました。教える技術を学べたという点では貴重な経験だったと感じていますが、学位取得に向けた研究との両立はかなり大変でした。


7. 最後に – アメリカの大学院に進学するか悩んでいる方へ 

一般的に、アメリカにおける大学院教育の考え方は、日本や欧州、豪州等での考え方とは大きく異なると言われています。研究主体のこれらの国々とは対照的に、アメリカではコースワークにかなりの時間を費やすことになります。博士課程であっても、入学後1–2年間は研究に専念する余裕はほぼありません。また、TAとして働く場合にはさらに時間がなくなります。そういう意味で、研究だけをしたいという方はアメリカではなく、日本や欧州、豪州等の大学院の方が良いかもしれません。でも、もし体系的なコースワークを通して研究者として必須のスキルを着実に修得したいと思われるなら、アメリカの大学院は非常にお勧めです。入学後しばらくは課題や試験対策に追われる日々が続きますが、これらは将来研究を行う上できっと役に立つものと思います。


☆★スタッフ募集のお知らせ★☆

カガクシャ・ネットでは現在スタッフを募集しています!
現在留学中の方もこれから留学しようという方も、座談会やメルマガ・ブログを通して、私たちと一緒に留学の輪を広げませんか?
(活動内容の例:座談会の開催やメルマガ・ブログの配信、ネットワーキングなど。)
ご興味のある方は、staff-kagakusha@googlegroups.comまでお気軽にご連絡をお願いします!



著者略歴: 

山田 勇介(やまだ ゆうすけ) (旧姓:向日(むかい)) 

信州大学(2010-2014, 学士号)、ノースカロライナ州立大学大学院(2014-2016, 修士号)、ヨークス株式会社カンボジア工場勤務(2016, Assistant Factory Manager)を経て、ノースカロライナ州立大学大学院にて博士号を取得(2016-2019)。専門は、繊維・高分子材料をベースとした医療機器の開発。現在は、日本国内にて歯科材料開発に携わる。カガクシャ・ネットには2016年に編集担当スタッフとして参加し、2018年からは副代表を務めている。

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2020年8月29日土曜日

スタッフの研究紹介(VI)「超高磁場ヒト脳機能イメージング」

 

スタッフの研究紹介(VI)「超高磁場ヒト脳機能イメージング」


初めまして。昨年よりカガクシャ・ネットのメルマガブログ編集委員を務めさせていだたいております程野です。私は2018年8月にNew York University (NYU) のSackler InstituteのPhDプログラムに入学し、Center for Advanced Imaging Innovation and Technology (CAI2R) のBiomedical Imaging and Researchという専攻に入学しました。そして、指導教員の異動に伴い、2020年1月にオーストラリアのブリスベンにある the University of QueenslandのCentre for Advanced Imaging (CAI)という研究所の博士課程に編入しました。



クイーンズランド大学のキャンパスの様子。

Q1. まず始めに、研究分野の大まかな概要を高校生や大学生でも理解できるように、できるたけ専門用語を使わずに、簡潔に教えて下さい。
脳の動的な運動制御は日常生活において欠かせない働きをしています。コーヒーを一口飲むなどの簡単な動作でも、脳は様々な筋肉の運動をリアルタイムに調整する必要があります。私たちの研究室では、このような複雑な微小神経回路がヒトの脳でどのように機能しているかを理解しようとしています。

そのために私たちは、機能的MRI(fMRI)という、神経細胞の活動を非侵襲的にマッピングすることができる技術を用いています。最先端の超高磁場磁石を用いれば、1 mm以下の解像度でヒトの脳を画像化することが可能となりました。これにより、脳の異なる皮質層間の情報の流れを把握でき、手を制御している微小神経回路を解読できる可能性があります。

長期的には、この研究が、人工の手を制御するようなコンピュータブレインインターフェイスの開発につながることを期待しています。


Q2. 具体的な研究テーマと研究目的について説明して下さい。
私の博士課程でのプロジェクトでは、ヒトの脳がどのようにして動的な運動を制御するかを理解するのに役立つ専門的なツールの開発に焦点を当てています。近年、fMRIの進歩はめざましく、視覚野において最大1Hzまでの神経活動の振動が観測できるようになりました。そこで私は、fMRI技術とその周辺装置を改良して、運動野においても高周波の信号が検出できるかどうかを調べています。観測可能な周波数帯域を知ることで、手を制御する微小神経回路を解読するための、より効果的な実験を設計することが可能になります。


Q3. 日本と留学先での研究環境の違いについて具体的に教えてください。
たくさんあると思いますが、あまり言及されていない点を挙げるとすれば「受動的に得る事のできる情報量の違い」でしょうか。アメリカのCAI2Rにいた際も、今のCAIにいても、研究者を対象にしたセミナーの数が非常に多いです。今はCOVID-19の影響で人を招くことは出来ませんが、外部から著名な研究者を招いてのセミナーは勉強になることが本当に多いです。学会やワークショップに行かなくても所属している研究所で最新の知見を本人から得ることができるのは、私の日本での経験との大きな違いだと思います。また、そのセミナーは採用面接を兼ねていることがあるので、「どのようなレベルの人がどのポジションに応募してセミナーに呼ばれているのか」、ということを知れる点でも勉強になります。

また、女性研究者の多さも挙げたいと思います。CAIにおける大学院生、ポスドク、研究員、教員を女性が占める割合は体感で40~50%くらいです。ニューヨークのCAI2Rでは50%くらいでした。どのようなシステムの違いが女性研究者の割合を日本より大きくしているかはよく存じていませんが、おそらく働きやすい環境が整っているのだと思います。さらに、国籍、人種の多様性にも非常に富んでいます。様々な背景を持つ人と交流を深めるのは楽しいですし、新たな発見にもつながりますので、多様性はきっと良いことなのだと思います。


Q4. ご自身が研究者を目指された「きっかけ」や、研究の「面白さ」について説明してください。
「きっかけ」は「カッコイイと思ったから」です。小さな子がウルトラマンやプリキュア(特撮やアニメのキャラクター)やヒカキン(YouTuber)に憧れるのと同じ感覚だと思います。研究活動を楽しんでいらっしゃる先生方はカッコよく、憧れました。  「面白さ」はやはり未知を既知にすることでしょうか。研究活動はうまくいかない事の方が多いのですが、ずっと考えていた現象が解き明かされた瞬間や実験がうまく行った際の喜びはひとしおです。この歳になってスキップで家路につくことがごく稀にあります。


Q5. 一日のスケジュールを円グラフで教えて下さい。



決まったルーティンを持っていないのですが平均すれば上のようなグラフになります。私は生産性が低いので平日はついつい長く働きがちです。しかし、ミーティングやセミナーが頻繁にあるので、実働時間は円グラフで示されている時間より少ないと思います。休日は研究をすることも多いですが、お昼まで寝たりゲームをしたりと息抜きの時間を確保するようにしています。  
また、COVID-19による自宅勤務期間も終わり、私の所属している研究所では既にほとんど全てのスタッフが戻ってきました。幸いにも研究所のロックダウン中は書き物やソフトウェア開発等を進めることができ、COVID-19による大きな影響を受けることはありませんでした。  


Q6. これから留学を目指す学生にアドバイスをお願いします。
隣の芝生はいつも青々と輝いて見えます。他者と自身を比較することは意味がないことですし、彼ら彼女らの成功は私たちの成功を阻害しません。頭ではわかってはいるのですが、奨学金等の目立った受賞歴や出版物の無い私は、よく勝手に比較して勝手に心を曇らせることが少なくないです。しかし、結局、「今自分にできることは、目の前のことを全力でする」という結論に回帰します。”ドットを打つ”とはよく言ったもので本当にその通りだと思います。後になってそのドットが繋がっていたことに気づくことがよくあります。なので、僭越ながら私からのアドバイスは、「様々な未来を見据えつつ、目の前のことを全力でしましょう」です。例えば、修士課程在学中で海外の博士課程進学を考えていらっしゃるのでしたら、周りとの比較や情報収集ばかりに時間を使わず、自身の受験の準備と修士課程の研究を全力でやりましょう、ということです。

また、私個人の見解ですが、博士課程留学はしてもしなくても良いと思います。日本にも素晴らしい研究者の方々はたくさんいらっしゃいますし、研究者となる上で博士課程留学はmustではないと思います。日本の博士課程に在籍しつつ海外に留学する、など博士課程の形は本当に人それぞれだと思います。ましてや、博士号はどこで取得しようが博士号なので無理に海外に拘らなくても良いと思います。さらに、日本で博士課程を終了し、海外でポスドクをし、そのまま世界の第一線で活躍してらっしゃる研究者の方もたくさんいらっしゃると思います。

自身がなりたい研究者像に近づくために「どのような内容の研究をしたいか」、「誰の下で修行したいか」、「どの大学又は研究施設のカリキュラムでトレーニングを受けたいか」等を考慮した際に、もし海外が選択肢として挙がったのならば、海外に行けば良いと思います。



 もし、程野の研究や本記事について質問がありましたらs.hodono[at]uq.edu.auまでご連絡ください。また、MRIの研究をしていて留学を検討している方も、お気軽にご質問ください。MRI研究の盛んなケースウエスタンリザーブ大学やNYUで研究した経験もありますので、お役に立てることがあるかもしれません。またまた、私の所属している研究室では博士学生を募集中ですので、興味がありましたら是非気軽にご連絡ください。MRI、非常に楽しいですよ!  






著者略歴  程野 祥太 (ほどの しょうた)    

2018年 8月   New York University Sackler Institute of Graduate Biomedical Sciences入学。
 Center for Advanced Imaging Innovation and Research、Biomedical Imaging and Technology Program所属。
2020年1月   The University of Queensland、Centre for Advanced Imaging、PhDプログラムに編入。    

編集協力:権 池勲      

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2020年4月25日土曜日

連載 インタビュー企画第1回:「ニューヨーク大学大学院生に出願から現在の研究の様子まで話していただきました!」

連載:インタビュー企画!「ニューヨーク大学大学院生に出願から現在の研究の様子まで話していただきました!」


今回カガクシャ・ネットは初の試みとして、現在大学院留学中の方にインタビューを行い、ポッドキャストとして配信することとしました。
今回、ニューヨーク大学のSackler Institute of Graduate Biomedical Sciencesという博士課程プログラムに所属している山口直哉さんがインタビューを引き受けてくださいました。
インタビュアーはカガクシャ・ネット、メルマガブログ編集員で2020年1月当時山口さんと同じ博士課程に所属しており、かつ、ルームメイトだった、現クイーンズランド大学所属の程野祥太です。

ポッドキャストは現在、AnchorSpotifyGoogle Podcast等で好評配信中です!随時他のプラットフォームへと拡大していく予定です。
ポッドキャストのRSSはコチラです。

以下は2020年1月に収録された本ポッドキャストを抜粋しスクリプトにしたものです。全編は是非ポッドキャストをお聴きください。





程野
この度、カガクシャ・ネットがポッドキャストにやってきた! 本日進行を務めるカガクシャ・ネット、メルマガ、ブログ編集員の程野祥太です。
カガクシャ・ネットは国内外の大学院教育について生の情報を発信しております。現役の海外大学院生や既に卒業された方で細々と運営しております。
普段はブログやメルマガで大学院留学に必要なステップや留学を成功させるヒントを体験談と共に伝えていますが、今回は実際に留学されている方にインタビューしてみたいと思います。実際に留学された方に経緯を語ってもらうのが留学を迷っている方に一番響くのではないでしょうか。
ご紹介しましょう。記念すべきカガクシャ・ネットポッドキャスト第一回、今回インタビューを受けてくださるのはニューヨーク大学大学院の山口直哉さんです!
山口さん、本日は大変お忙しい中ありがとうございます。

山口直哉さん(以下敬称略)
よろしくお願いします。

程野
それでは早速ですが簡単に所属している研究室とご自身の研究内容を教えていただけますか。

山口
New York UniversityのSackler Instituteという医学部のもつ博士課程に所属しています。5年生になりました。 専門はDevelopmental Genetics、発生遺伝学を専攻しています。研究内容はゼブラフィッシュという脊椎動物の小型魚類を使って、細胞が身体の中を動く仕組みの理解を目指しています。

程野
ありがとうございます。それでは早速色々と質問させていただきます。
まずは動機をお伺いしたいのですが、どうして大学院留学をしようと思われたのですか?

山口
僕は日本の大学の学部生だった頃、当時の指導教員の先生がチャンスをくださって、学部2年生から研究室に入り浸らせてもらいました。修士課程に進学した頃からそろそろ環境を変えなければlearning curve、勉強できることが頭打ちになってしまう、と感じ始めるようになりました。そこで、これから何をしようか、どのような新しいことを学ぼうか、と考えた時に、当時は細胞だけを使っていたんですけど、モデル生物を使った発生生物学とイメージングを組み合わせた研究をやってみたいと思いました。その際に世界の一線級のラボを探すことにしました。

程野
ラボを探す際に、海外の大学院に目を向けることは山口さんにとって自然なことだったんですか?

山口
そうですね。僕にとっては自然なことでした。

程野
それでは博士課程出願についてお伺いしたいのですが、出願に必要だったものを教えていただけますか。

山口
必要だったものはみなさんと同じです。TOEFLのスコア、GREのスコア、推薦状三通、成績表、CVとStatement Of Purpose(SOP)です。僕の所属するプログラムは近年GREの使用をやめました。 このようなプログラムは増えてきていると思います。ちなみに、僕は日本国内の奨学金を獲得することができませんでした。つまり、国外の大学院に留学するのに、日本国内から持参できる奨学金はマストではありません。もちろんあるに越したことはないですし、プログラムの財政状況にも大きく依存するのですが。

程野
山口さんのプログラムは合格した人は全員、授業料とStipendを貰えることが約束されていたプログラムでしたか?

山口
そうですね。

程野
TOEFLについてお伺いしますが、山口さんは過去に留学経験等はありましたか?

山口
僕は短期留学等含め、留学経験はそれまで全くありませんでした。 TOEFLは辛かったですけど、決めていた目標の点数を取るまで、とにかく勉強と受験を繰り返しました。

程野
どのように大学院の出願先を決めましたか?

山口
僕はやりたいことがある程度かたちになっていましたし、当時修士課程で、研究論文を読むということは日常的でした。なので、自分のやってみたい研究の方向性に沿って論文を読んで、そのcorresponding authorがいる大学院のプログラムを探すことにしました。その中で、住みたい国や街、自分の持っているTOEFLやGREのスコア、同じプログラムにいる別の教員の研究などを鑑みながら少しずつ絞っていきました。
というのも、ラボローテーションを課しているプログラムですと、1人の教員だけにすごく興味があっても、必ずしもうまくいかないこともあるので、2人なり3人なりこの人と一緒に研究をしてみたいと思える人達がいるプログラムを探し絞っていきました。

程野
何校くらいに出願しましたか?

山口
8つのプログラムに出願しました。 また、大学院ランキングにも一応目を通して、自分の希望する分野で1-50位くらいに志望校が散るようにしていたと思います。

程野
それは、めちゃくちゃ行きたい所、行ければいいかな、滑り止め、のような具合にカテゴライズしたのですか?

山口
少し違います。出願をしたどのプログラムにも自分がついてみたい研究者はいました。彼らは皆一流なんですけど、大学のネームバリューも考えに入れたということです。ネームバリューが高い所ばかりに出願して全落ちしてしまうことも考えられたからです。

程野
意外と簡単に落とされますもんね(笑)。

山口
サクッと切られてしまいますからね(笑) 。そういうことを鑑みた結果、散らして8校に出願しました。

程野
それはアメリカのみですか?

山口
僕はイギリスとカナダにも1つずつ出願しました。イギリスは(2015年当時)EU圏の学生以外には非常に奨学金が限られていて、自分で日本の奨学金等のお金をどうにかして持っていかないと合格は出ないと先方に言われていました。僕はお金がなかなか取れなかったこともあり、イギリスには受かりませんでした。カナダのプログラムには受かったのですけど、そこは審査過程の一番初めに受け入れ予定の教員が受験者を受け入れたいか受け入れたくないかプロジェクトベースでかなり厳しく審査していました。僕の場合はその先生と密に連絡を取っていたこともあり合格が出ました。

程野
それは出願前からその先生と連絡を取っていたということですか?

山口
そうです。

程野
実際に訪問もされましたか?

山口
受験する年の夏にアメリカ国内の4校を訪問しました。8つのプログラムに出願しましたが、どのプログラムにも連絡を取り合っている教員が必ず一人ずついるように事前に研究室訪問をしたり、メールをやりとりしたり、スカイプで話をしたりして、実際にできるプロジェクトをすり合わせたりだとか、どのように自分が研究室に貢献できるかを話しました。これは結構大事なことで、自分の情熱を相手に伝えるのに最も適した方法だと思います。 自分が研究できるということのアピールになりますしね。大変ですし、勇気もいりますが、僕にとって世界的な研究者に自分を売り込むのはエキサイティングなことでした。もちろん。これは出願時に用いるSOPを書く際にも本当に大事な肝にもなりますね。

程野
トップの研究室にいる先生方は多忙だと思いますが、連絡を取るということは可能だったのですか?

山口
はい。僕の場合は、メールでコンタクトを試みた際の返信率は80%くらいだったと思います。メールの書き方ですけど、CVを添付して、自分の研究を1ページにまとめたcover letterのようなものを用意して、彼らの研究のどのようなことに興味があって、どの論文を読んだからアプローチしているのかということを簡潔に2行くらいで書いてメールを送っていました。そしてメールの最後に、もし可能なら訪問させてほしいことや、Skypeで話がしたいというような、先のことを見据えたやりとりを心がけていました。

程野
こっちが真摯にアプローチすれば向こうも返してくれるということですかね。

山口
そうだと思います。いざ僕がこっちのラボに所属してみると、常にボスたちは良い学生やポスドクを求めていると感じます。なので、そのように情熱や真摯な姿勢が伝わると助けてくれると思います。

程野
出願課程で苦労したことはありますか? また、それをどのようにして乗り越えましたか?

山口
僕は留学経験がなかったのでTOEFLのためにコツコツ勉強しました。それはかなりしんどかったです。
また、僕は当時日本の大学の修士課程に所属していました。僕は大学院留学の準備で修士課程の研究を犠牲にすることは絶対にしたくなかったし、それは本末転倒だと思っていました。しかし、出願準備のタイミングと研究論文の執筆と修士論文の準備のタイミングが重なり、本当に苦しかったです。また、背水の陣を敷いたので、修士課程が終わってもどこにも行き先が決まっていなかったのは、クラスメイトの中で恐らく僕だけだったと思います。ちなみにどこにも受からなければ既卒で就活しようと思っていました。メンタルもぼろぼろでした。しかし国外の教員を含む多くの人からの励ましをいただいたのと、ハードワークで乗り越えました。

程野
出願過程で誰かにアドバイスを頂きましたか。もし参考にした本、サイトがあれば教えてください。

山口
数人の日本の先生にお世話になりました。既にアメリカに大学院留学を始めていた高校のクラスメート、直接お会いしたことはないけれどアメリカの大学院留学をしていた大学の先輩、など多くの方を頼りました。また、カガクシャ・ネット著の理系大学院留学の本も持っていましたし、よく読みました。 特に最後にあるインタビューが非常に良かったですし励みになりました。

程野
次に、入学後のことをお伺いしたいのですが、実際に入学して、アメリカの博士課程で優れたシステムだな、と思う事があればあげてもらえますか?

山口
一つ目に授業が優れていますね。最初の二年間はブートキャンプですね。かなり詰め込まれるし読ませられる。でもこれは本当に無駄にはならなくて、後の研究の基礎となる知識を詰め込み、学生たちをまず一定ラインに乗せるという教育ですよね。論文を読んだり折につけプロポーザルを書かせたりすることで、実践的に自分で研究を発展させる能力を鍛えてくれますね。
論文を読んで、まだ残っているクエスチョンは何なのか考えさせて、それにどういう研究手法でアプローチすればいいのか、というようなことを何度も何度も授業を通してトレーニングされるというのは非常に良い点だと思います。時間をとらされるというのはマイナスと言えばマイナスですけども、絶対に無駄にはならないので。
二つ目にコミッティーがしっかりしているところをあげたいと思います。

程野
日本の大学院でいう副査のような立ち位置ですか?

山口
そうですね。
コミッティーは学生と指導教員の間に立つことができる第三者機関で、研究の方向性から学生の次のキャリアの選択など多くのことに関してサポートが得られます。もし、学生と指導教員の間に何か食い違いがあったときに彼らが間に入って問題を解決してくれたり、というようなこともあります。
また、研究者のキャリアでは推薦状が非常に重要になってくるのですが、コミッティーから得られる推薦状も大きな助けになるでしょう。しかし、一方でコミッティーにネガティブな印象を与えてしまうと、大学院生活は苦しくなってしまいます。

程野
コミッティーとはどれくらいの頻度で会いますか?

山口
僕のプログラムでは2年生の終わりにqualifying examがあるのですが、そこで初めてコミッティーが組織されます。それ以降は1年に1回コミッティーミーティング(進捗報告発表会)を持つことが義務付けられています。5年生以降になると、半年に1回の頻度で開くよう推奨されています。卒業時にはコミッティーの前でディフェンスを行います。

程野
コミッティーからは研究に対してアドバイスをいただくことも?

山口
当然ありますね。また、コミッティーのメンバーと廊下で会えば立ち話もしますし、よくその場でディスカッションにもなります。

程野
1年目と2年目の激しいブートキャンプを終えた際に、自分の博士論文に向けたチームを組織する ということですか?

山口
そうですね。サポートチームです。非常に贅沢な体制だと思っています。
三つ目にdiversityをあげたいと思います。既にアメリカの生命科学系の大学院の男女比はおそらく1:1か、もしくは女性のほうが多いくらいかと思います。さらにマイノリティーや留学生も加わり、アメリカ人だけではなく非常に多様な人材が集まります。様々なバックグランドをもつ人と関わり一緒に研究することは大事なことだと思います。
四つ目に学生に対するサポートの厚さをあげたいと思います。僕は有難いことに贅沢しなければマンハッタンで十分生活できるだけの給料を受け取りながら研究に打ち込むことができています。さらに、保険の付与や相場から考えればかなり安い学生寮の提供など、とても有難いと思っています。
五つ目に、質の良いサイエンスが周りにゴロゴロしている、という点を挙げたいです。本当にサイエンスが好きならば、これほど素晴らしい環境はないと思います。一年に何度も、涎が出そうなほど幸せな、凄いこと聞いちゃったな、というようなセミナーがありますね。サイエンスの情報も、論文よりも早くに直接人と話すことによって得られることが多く、とてもエキサイティングな環境だと思います。

程野
セミナーの頻度とかも非常に高いですよね。

山口
世界各国から有名な研究者が来てセミナーしてくれますね。セミナーの後に一緒にランチに行くこともありますし、僕もその場で情報交換をして共同研究に発展したケースもあります。人が動いている、サイエンスのコミュニティの中にいる、というような感覚です。

程野
普段の1日を教えてください。

山口
程野くんは僕の生活習慣をよく理解していると思うけれど、僕はかなり規則正しいレギュラーな生活習慣を心がけています。朝7:30に起床、朝食を食べコーヒーを飲み、毎朝お昼のサンドイッチを作ります。大学院の1日目から同じものを食べ続けています(笑) 。友達にもいじられますが、安く済みますし、考えなくていいですし、あとまあまあ美味しいので続けています(笑)。
サンドイッチを作った後にシャワーを浴びて、9:00にラボにいき、午前中の仕事をします。12:00にラボのメンバーとお昼をとり、12:30頃から午後の仕事を始めます。可能ならば14:00くらいの一番眠くなるときに、水槽を洗ったり魚の尾を切ってDNAをとったりなどの単純労働を入れられるならば入れます。それから夜に顕微鏡の予定がなければ19:00頃ラボを出てアパートメントに戻ってきます。そのあと夕食をとり、トレーニングをして、就寝します。
研究は楽しい一方で疲れる事もありますし、頭も使いますし、うまくいかない事も多いので、なるべく私生活の方はあまり複雑にせずにルーティーンに従うようにしています。創造性の部分を研究に発揮できるよう心がけています。

程野
休日も働いてますか?

山口
そうですね、僕の研究室は休日も働くことが多いですね。必ずしも推奨はされませんが、僕のラボはみんな週末も働いていますし夜も結構遅くまでいることが多いです。

程野
アメリカの博士課程に在籍していて、不満があれば教えてください。

山口
日本から物理的に遠いことですね。家族ももちろん日本にいますし、妻と別居婚なのですが、ほとんど会えません。年に数回会えればいい方ですね。
それと、やはり大学院が長いことですね。当然といえば当然ですが、アメリカの大学院に入ってしまうと、そこからはアメリカ時間で流れます。日本の社会に流れる時間とアメリカの社会に流れる時間は必ずしも対応していないと思います。日本の場合は学部を卒業してすぐ修士に行き、そこから博士課程に行く人は27、28歳頃に博士課程を修了することが多いでしょうが、アメリカの場合は違います。学部を卒業してから大学院に入学するまでの間、ラボでテクニシャン等をして下積みを積むことが多いです。そこから博士課程に入り、そこから5年なり6年なりかかります。これが結構医学生物系では当たり前で、博士号を取得するのは30歳前後ということが多いです。そこからポスドクをするのでやはり時間の流れ方が日本とアメリカで若干ずれてしまいますね。

程野
ズバリ、博士課程で求められる必要な能力とは?

山口
一つだけ挙げるとすれば、僕が最も大事な能力だと思うのは「勇気」です。
例えば出願の際でも、海外の大学院に行きたいと思ってもほとんど多くの人が挫折してしまうと思います。そこで自分を信じて大学院の出願を最後までやりきる。
自分のつきたい教員にアプローチするのにも勇気が必要です。
研究では例えばリスキーなプロジェクトを始める。自分の時間や他の可能性を犠牲にしてできるか分からないことにチャレンジするのは本当に勇気がいることだと思います。
僕の場合ですとゼブラフィッシュを使っていますが、一世代に3ヶ月かかるので1つの実験の結果を見るのに早くて3か月、場合によっては1年以上かかります。それをやるべきか否か。面白い、うまく行きそうだ、と思っても躊躇ってしまう。そこに勇気が必要です。
そして自分の結果に責任を持つにも勇気が必要です。
全部、勇気を奮い立たせないといけないですね。

程野
どのような人がアメリカの博士課程に向いていると思いますか。

山口

敢えて僕は、最初に、「研究が好きな人」と言いたいと思います。博士課程に期待されているものは日本でもアメリカでもかわらないはずだと考えていて、ここは次世代の研究者を育てるための場所ですし、その行為を通して問題解決能力などを鍛える場です。ですから、まずは研究が好きなことが第一です。そして、自分が最善と思う研究やトレーニングの環境を探していたらアメリカに来てしまった、という人がアメリカの博士課程に最も向いていると思います。もちろん、コミュケーション能力が高かったり、英語ができたりするのは大きな助けになるとは思います。しかしやはり、6年ほど毎日毎日ラボに行って研究をすることができる、燃やし続けられる情熱を持っていることが大事です。

程野
所属している研究所で“良い事だな”と思う点があれば教えてください

山口
コミュニティが温かくしっかりしていることです。学生ですが自分がこの研究所の一員である、ということにプライドが持てる研究所です。学生やポスドク、いわゆるトレイニー同士は仲が良いですし、別のラボの教員と立ち話しをすることもあります。それもこれも、僕の所属する研究所には素晴らしい女性研究者の所長がいて、彼女のリーダーシップが研究所全体に行き届いています。学生やポスドクや全ての教員、さらにadministrator等の事務の方にも行き届いています。 質の高いサイエンスを促すと同時に、研究所内の良い雰囲気を保っています。彼女の研究者としてのあり方とリーダーシップを間近で見られたことは僕の一生の財産です。

程野
Skirball Instituteは世界有数の研究所ですが殺伐としているということはないですか?

山口

Skirball研究所は良い雰囲気ですね。所長がかなり心を砕いて気を配ってくれていて、どういう人をリクルートしてくるのかなど全てに関わって、なるべく良い環境を保とうとしてくれています。また、Skirball研究所全体で行くretreatという小旅行が企画されていたり、holiday partyやhappy hourがあることによって 、Skirball研究所として良い研究をしていこうという空気が作られていると思います。

程野

今、描いている博士課程取得後のプランはありますか

山口
ポスドクをするつもりです。アカデミアのトラックを考えていています。

程野
周りの博士課程取得後のキャリアについて教えてください。

山口
様々ですね。ポスドクをする人、インダストリーに進む人、メディカルコミュケーションの仕事を得る人、ファイナンスやコンサルティングに職を得る人、など本当に様々です。
しかし、留学生のキャリア選択が必ずしも現地のアメリカ人たちのキャリア選択と同じであるとは限りません。ビザの問題がどうしても避けられないからです。 アカデミアの場合はそこまでビザを取るのは難しくありませんが、インダストリーに進む際はビザの問題が避けられないと思います。

程野
留学を考えている日本の学生にアドバイスをいただけますか?

山口

10年先をイメージしてみましょう。その時に、大学院留学しなかったことを後悔していそうならば、チャレンジしてみたらいかがですか。
自分が研究者だったらどんな学生と働いてみたいかということを想像してみると、自ずとどのように準備をすれば良いのかわかるのではないかと思います。
真剣さや誠実さというものは不思議と相手に伝わるものみたいです。お互い頑張っていけたら良いですね。

程野

山口さん、貴重なお時間を本当にありがとうございました。
本日、インタビューを受けてくださったのはNYUのSackler Instituteに所属する山口直哉さんで、進行は程野祥太でした。
本インタビューに関することで山口さんに質問がある方はカガクシャ・ネット宛に連絡をください。
それでは、次回の配信をお楽しみに。



(追記 2020年4月)
山口
上記のインタビューが行われました1月から4月までのこの短期間でニューヨークをめぐる状況は一変してしまいました。研究所は3月半ばにシャットダウンされ、現在は外出を控えながらリモートワークでのみ研究を続けています。ありがたいことに、この間プログラムは給料(stipend)、健康保険、寮の提供を維持してくれています。このようなことが起こると、将来海外留学をすることに躊躇するかもしれませんし、それは自然なことだと思います。しかし歴史をみれば、どんな難しい時代にも留学生はいたのだと励まされます。


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インタビュー回答者略歴
山口 直哉(やまぐち なおや)

2015年8月
New York University Sackler Institute of Graduate Biomedical Sciences入学。Skirball Institute、 Developmental Genetics Program所属。
2019年よりAmerican Heart Association Predoctoral Fellow。専門は細胞運動と小型魚類の発生。 

大学院留学などに関しては以下のブログでも扱っています。「生命科学Ph.D留学記(https://n275.wordpress.com/)」
以下のサイトにも大学院留学に関する体験談を寄稿しました。「大志を抱け!海外大学院留学への道(https://hokudaikaigaigrad.wixsite.com/support)」
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インタビュアー兼著者略歴
程野 祥太 (ほどの しょうた)

2018年 8月
New York University Sackler Institute of Graduate Biomedical Sciences入学。Center for Advanced Imaging Innovation and Research、Biomedical Imaging and Technology Program所属。
2020年1月
The University of QueenslandのCentre for Advanced ImagingのPhDプログラムに編入。専門は超高磁場ヒトMRI。


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編集責任者: 日置 壮一郎
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2020年3月27日金曜日

こつこつ続けて力を伸ばす習慣づけのコツ

こつこつ続けて力を伸ばす習慣づけのコツ


なぜ習慣づけか
習慣づけをテーマにした記事を何回かカガクシャ・ネットに書きました。留学準備は手間暇がかかる作業で本業の学業に加えて準備する時間を確保する必要があります。さらに留学に必要な語学力をつけるのは一朝一夕にできるものではなく毎日少しずつ言語に触れることが重要です。そういうこともあって習慣づけに関する理論について勉強してわかったことをシェアするようにしています。

2017年にはカガクシャ・ネットの新年のあいさつ(*1)で私はこんなことを書きました。


30歳の誕生日の翌日にフロリダのディズニーワールドでフルマラソンに初挑戦しました。去年の夏に思い立った時には5キロ走るのもやっとだったのですがこつこつと練習を重ねた結果完走することができました。努力を重ねた結果想像もしていなかった結果が得られるというのは留学も同じだと思います。みなさんも大学院留学に挑戦してみませんか?


素晴らしいコメントですね。
さてあれから3年たって2020年のタケダはどうなっているでしょうか?

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

フルマラソンを完走したらそれまでの練習でヒザを痛めたのもあって走るのをやてしまいまた走れない身体に戻ってしまったのでしたやはり続けるのは簡ことではないのです。

何がダメだったんだろうと考えていたのですがJames Clear"Atomic Habits" (日本語版は『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』という本を最近つけて読んだところ参考になることがたくさん書かれていたので紹介します。


目標を設定するのではなく、続けられるシステムを作ることが大切

なぜなら目標を達成したらそこで満足して辞めてしまうからです。先のマラソンのでいえば目標は"フルマラソン完走"ではなく、"マラソンランナーになることにしなければ、走るのをやめてしまうのです。「習慣は続けることでアイデンティティになる」とこの本に書かれていたのが印象に残っています。


習慣の効果は複利

毎日101%頑張ったら、何日後にはみたいな自己啓発系の話がありますけど、要それです。本当に毎日1%レベルアップするのは難しいですが気の持ちようだけでもそうあればいいと思います。

この話でもう一つ大切なのは時間をかけて積み重ねた習慣が崩れてしまうとあっいう間に元に戻ってしまうところです。たとえば50%レベルアップしてもそこでサボって33%ダウンしたらもとに戻ります(100 x 1.5 = 150150 x (1 - 0.33) = 100)。つまり、習慣は止めてはいけないということです。


一回のタスクを簡単にする

習慣をつけるには反復して体で覚えるのが不可欠です。語学を勉強するときにも「脳で考えなくても使えるようにする」と聞いたことがあるかと思います。そうするためには簡単なタスクにして反復しやすくするのです。

マラソンの例をまた出すと、雪が降ろうとも毎日2km走る人が近所にいるのですが、は失礼ながらたった2キロかよと冷ややかに見ていました。ところが、これは簡単らこそ続けやすいルールで、これによって"毎日2キロ走る人"というアイデンティティを確立できているのです。これはすごいことです。

この本に書かれている各論は他の名著と重なる部分も多いのでそれについて紹介した20188月配信のブログ(*2)もご参照ください


URL一覧
*1 カガクシャ・ネット「2017年スタッフのごあいさつ
*2 カガクシャ・ネット「留学準備にも役立つ習慣づけの方法



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著者略歴:



 武田 祐史(たけだ ゆうじ)

 2016年にタフツ大学医療工学科にて学位を取得。
 ブリガム&ウィメンズ病院、ハーバードメディカルスクールにてリサーチフェローを
 務めた後、2017年からボストン郊外のバイオテックにて製剤設計の研究開発を行って
 いる。

 カガクシャ・ネットのスタッフには2011年に志願。その後2015年からカガクシャ・
 ネット5代目代表を務め、「理系大学院留学」の第三刷改訂分、「研究留学のすゝ め」
 第15章 「大学院留学のすゝめ」を執筆。

 インタビュー記事: https://theryugaku.jp/1669/
 武田個人ページ: https://sites.google.com/site/yujistakeda/


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2020年2月25日火曜日

研究者志望者へ贈る学部留学のススメ


科学者になることを見越した留学と聞くと、大学院留学を真っ先に想像されるのではないでしょうか。国内外に広く視野を持つ若者でさえ、科学者になることを見越して学部留学を考えるのは一般的ではない様です。そこには次のような理由が容易く考えられるでしょう。(i)母国語で専門の基礎を固めたい。(ii)留学が科学者を目指す上で有益か判断しかねる。(iii)経済的に難しい。そこで今回は、筆者の実体験を交えつつ、科学者を目指す上で学部留学の利点・欠点を取り上げたいと思います。
注:主に米大学(4年制)・大学院について記述しますので、他の国では当てはまらない事もあります。



はじめに
筆者はアメリカのとあるリベラルアーツ・カレッジを卒業後、シカゴ大学大学院の物理博士課程に在籍しています。学部生時代、専門の垣根にあまり影響されることなく多くの分野(後述)に挑戦できたことが私にとって良い素地となりました。その後の経緯は、最も興味があった分野であるソフトマター物理学に進み、ひょんなことから流体力学の研究をすることになったのでした。

時折、なぜわざわざ学部留学したのですかと聞かれます。私としては「主体的に勉強したいと思った時に、アメリカのリベラルアーツ・カレッジに魅力を感じたから」としか返せません。特にSTEM系の場合、大学で学ぶことは大体一緒なので、知識自体はもちろん国内の大学でも手に入れられます。私の場合、ディスカッションベースで政治哲学の講義も受けたかったし、なんなら専門の物理以外の脳神経学などを学びたいと思ったのです。

「学部留学は研究者になる上で不利ですか」と問われれば、そんな事はありません。アメリカに学部留学している中国人やインド人の数をご覧。実に多様なキャリアを歩んでいる。もちろん、あらゆる人生の決断と同様に、利点と欠点があります。それらを両方見据えた上で判断できるように、本稿ではいくつかの重要な点を取り上げます。



学部留学の利点

1. 学部生の勉学を推奨する環境がある
アメリカの大学生は専攻に関わらず、とにかく勉強をします。(*5)課題、実験レポートは当然として、講義内外でのディスカッションに備えます。自分の器量に合わせて、講義数やアルバイトの予定を組みますが、学生は例外なく勉学に勤しみます。教授陣も四六時中、学習させる様にコースをデザインします。GPAが一定以下になると退学させられる事もあり、学生は必死で勉強します。そもそも、院進学に関わらず卒業後の進路の多くでGPAは大きく影響します。より良いインターンシップや学内外の奨学金を獲得するのにGPAは良い方が有利なのです。

アメリカの大学生は田舎から一人で出てきて、自立した生活を多様性に満ちた環境で送ることを一般的に求められます。社会問題でもある学生ローンの高騰もあり、無駄な自己投資を避けるべく、学生は勉学やスキルの習得に直向きに取り組みます。学期中だけでもほぼ毎日勉学に勤しめば、学問の基礎ができるのも納得が行きますね。科学者志望者はGraduate schoolやMedical schoolに進学しますが、最低GPA: 3.0/4.0が求められます。競争力のある応募者のGPAは4.0に近い上に、院レベルの講義を学部在籍時に受講します。決して珍しいことではありません。

日本の大学出身者がアメリカの院に応募する際、日本の大学でのGPAの良し悪しをアメリカの教授陣は推量しかできません。日本の大学出身者は、学力に不足がないことをGREと呼ばれる共通試験(難易度は易しめ)で示せるでしょう。一方で、アメリカの大学出身者の高いGPAの裏には学力に加えて強固な労働倫理が垣間見えます。後者の素養も見込まれていることをお忘れなきよう。


2. 学部生も1年生から複数の研究室で見習いをできる
アメリカの大学院進学に必要なものに「研究経験」と「3通の良い推薦状」があります。現役で進学する場合、現地の大学生の多くは2名の研究指導者+良い評価を頂いた教授に推薦状を頼みます。上手くいけば、3名の研究指導者から推薦状を頂きます。アメリカの大学では1年生からでも教授が受け入れれば、研究のお手伝いをすることができます。特別、珍しいことでもありません。大抵は2年生以降に教授と交渉をし、研究経験を積みます。4年生の時に、卒論としてまとめる事もあります。現役で院に進学する場合、4年生の12月中旬までに応募しなければなりませんから、研究経験を積むのに学生は必死です。日本の大学でこれらをクリアするのは、文化が希薄だったり、英語で執筆を依頼しなければいけないので事前に根回しが必要です。当然、現地の大学に通っているのであれば、自分の行動次第で道を切り拓けます。

私の話をすると、大学では凝縮性物理の教授、脳神経計算機学の教授と研究を行いました。学外ではフェルミ国立加速器研究所(日本で言うところの高エネルギー加速器研究機構)にて数ヶ月間インターンとして従事。研究経験と推薦状は米大学院応募では対となる重要な資料です。そこで強みをアピールする為にも、学部留学は考慮の価値があるのではないでしょうか。


3. 現地語で専門の基礎固め
STEMでは基本的に英語が共通言語です。専門について議論する時に用語を英語、もしくは希望の留学先の言葉で知らなければ話になりませんね。この議論のスピードを養うのに、学部留学は最適ではないでしょうか。更に現地の大学で学位をとっておけば、学力に加えて意思疎通の不自由がないことを証明できます。例えば、アメリカで学士を取れば、院応募時に英語力を証明する必要はありません。また、論文英語は「サイエンティフィック・ライティング」と形容される様に書き方があります。これらを現地人と共に訓練されるのは価値があります。英語での口頭発表も鍛えられるのは間違い無いでしょう。



学部留学の欠点/苦労する点

学部留学には科学者としての基礎能力を身につける一助となる一方で欠点もあります。

1. 少なくない留学費用
留学費用は奨学金獲得の有無に左右されますが、多くの場合、安い選択肢では無いでしょう。English Pedia(*1)によると、学部留学の相場は年間230万〜だそうです。これは国立大学の学費(*2)の4.3倍〜に相当します。実際の負担額は学生の質(学力、リーダーシップなど)、家庭状況、大学の事情などに左右されるので千差万別です。当然、個人の努力によって同程度の実力は国内でも身につけることは可能です。費用と自分の欲しいもの(基礎学力、言語力、国際性など)を天秤にかけて、最後には判断することになるでしょう。


2. 研究経験を積むのには交渉が不可欠
留学生が研究経験を積むのは教授との交渉が不可欠です。大きな大学なら学部生を受け入れている研究室があるだろうが、入学前に調べると良いでしょう。アメリカの大学ではNSF(アメリカ国立科学財団)が主宰して夏休みに10週間程度の研究プログラムを展開していますが、留学生は応募できません。なぜかと言えば、彼らの大義は次世代のアメリカ人科学者を教育することだから。留学生が研究経験を積むには大抵、通う大学の教授と交渉することになります。あるいは、競争率が高い外部のインターンシップに応募する。日本の大学や研究所にコネがあるなら、夏休みはそこで研究の手伝いをさせてもらうのも手でしょう。いずれにせよ、いかなる人生の出来事同様に主体性が求められます。


3. 国内でのネットワークが広がらない
国内の院に進学したい場合や学士取得後の就職では情報戦や準備で苦労するかもしれない。昨今では、留学経験者を好意的に採用する企業も増えているが、一人で情報網を貼っておくことになりがちです。所謂、レールの敷かれた人生を思い描いていた学生には不向きでしょう。



まとめ
米大学→米大学院へと進学した私からすれば、現地で得られる情報・経験に勝るものはありませんでした。米大学院応募において自分の立ち位置を知る為にも、敵を知るべきです。一歩下がって考えれば、院に進学しなくても学部留学で現地就職の道も拓ける訳です。様々な理由から、国内では安定志向の若者が目立つようになりました。短期・長期を含めた留学者数は2017年度は10万人を超えましたが、その内1年以上の留学者数は2000人強と極めて少数です。一方で、理系グローバル人材は科学界でも産業界でも求められている希少な人材に思えます(*4)。国内外で活躍する科学者を目指して、学部留学を選択肢として考慮してはいかがでしょうか。


参考:



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 著者略歴:
 松澤 琢己(まつざわ たくみ)
 2016年、米カラマズー大学より学士号(物理・化学、最優秀)。
     物性物理学、高エネルギー物理学、計算論的神経科学の分野で研究
     フェルミ国立加速器研究所ではインターンとして従事。
 2017年、シカゴ大学より修士(物理)。
 2022年、博士号(物理)を取得予定。専門は流体力学。


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発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 
山田(向日)勇介
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2020年1月3日金曜日

新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。今年のカガクシャ・ネットのスタッフからご挨拶を申し上げます。

代表 武田 祐史(たけだ ゆうじ)
所属:Phosphorex, Inc (ボストン郊外の製剤開発系CRO)
カガクシャ・ネットの5代目代表に就任してから早5年が経つそうです。時の流れに驚くばかりです。 私の留学経験は少しずつ古くなってきているので、留学中の学生さんからのインプット(や反逆)がもっと欲しいところです。カガクシャ・ネットのスタッフとして、メルマガ・ブログや留学相談会の運営などのお手伝いをしてみませんか? ご応募お待ちしております!


[編集チーム] 
編集担当(副代表) 山田 勇介 (やまだ ゆうすけ)(旧姓:向日(むかい))
所属:サンメディカル株式会社(滋賀県守山市)
昨年は、博士号取得に結婚&就職と良いことがいっぱいの一年でした。
今年も、fruitfulな年になれば良いなと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

編集担当 松澤 琢己 (まつざわ たくみ)
所属:シカゴ大学
博士課程の始めに取り組み始めた実験が山場。今年こそ理論・計算・実験の足並みが揃えばいいなぁ。今年も研究留学について情報発信したいと思います!

編集担当 程野 祥太 (ほどの しょうた) 
所属:クイーンズランド大学 
新年早々の1月より、ボスの異動に伴いNYUからオーストラリアに移ることになりました。人生思っていたようには行きませんが、自分が面白いと思う研究を楽しく出来たらと思います。PhDへの道のりは長いです。良い機会なのでオーストラリアの留学情報を発信できればと思います。


[座談会チーム] 
座談会担当(副代表) 張本 哲弘 (はりもと てつひろ)

所属:コロンビア大学
博士課程4年目に突入し、研究、執筆、プロポーザルと忙しくなりました。
楽しく研究することを忘れずに頑張りたいところです。
本年もよろしくお願いします。



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